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ざっと席を見渡す限り、空軍はほとんど見当たらない。
ほぼ陸海軍の将校達であり、空軍将校は最低限度といった様子だ
『まぁ……それもそうか…』
艦を家とする海軍、また足とする陸軍が、ここに集うのは道理
だが、空母から発艦する海軍航空隊ならいざ知らず、陸上の航空基地から、空中給油を繰り返しながらでなければ往復出来ない空軍は、ここに来ても意味がない
まぁあくまで作戦に支障をきたさぬように、軍議の内容くらいは把握するため、何人か派遣してきた、という程度だろう
「ふむ……………」
思わず、嘆息した
別に、空軍が少ないだとかはどうだっていい
ただ、本来、陸海空軍揃って丘でやるべき軍議を、艦上でやる上に、頭数もそんなにいない
そんな状況でもやらざるを得ない、それほどまでに、時間がなく、焦っている
気持ちは分かる
ましてクロイツは、アレンから敵の兵力は、件の兵器の設計資料、威力、射程、性能などの記録されたデータまで渡され、見ているのだ
一秒が惜しい
だが、その事は決して誰にも話すまいと、エリスと話し合ってある
あの兵器は、この時代、世界には過ぎたるもの
もしそれの設計資料があるなどと知れれば、どうなるか、想像に難くない
背負う物の数が、この夫婦と周りとでは違うのだ
クロイツは目を細め、小さく溜め息をついた
もう、ここ数日で何度目の溜め息か
数えるのも、難儀だった
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