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そんなことを考えながら、数分が経った
席は上座を除き満席、あとは、陸海空軍の最高司令官の到着を待つのみとなった
『こんな時でも、上役出勤とは、恐れ入る…』
心の中でそんな悪態をついた時、その三人は現れた
部屋にいた全員が起立、直立不動の姿勢をとる
「諸君、待たせて済まない。これより本作戦の最初の、そして最終軍議を始める」
そう海軍元帥が発言すると同時に、足元に僅かな揺れを感じた
恐らく、艦が動き始めたのだ
それを見計らったかのように、海軍元帥、空軍元帥、そして、先程も顔を合わせていた、クレブス大将が席に着く
海軍元帥が一番上手に座り、クレブス大将がクロイツの横に座る。その対面に空軍元帥、といった席順だ
「さて、済まんが、あまり時間がないので自己紹介は簡潔に済ませよう。今回、連合海軍の司令官を務めることとなった、ヒロシゲ・カンナギだ」
「同じく、連合空軍司令官を務める、エドガー・ラーゲルクヴィストだ」
「消息不明の元帥閣下に代わり、臨時に上級大将となった、連合陸軍司令官、ヘルマン・クレブス、以後、よろしく」
その三人の簡潔な自己紹介の段階で、クロイツは若干、嫌気が差した
いや、厳密にはクレブス大将のことで、だが
『さりげなく上級大将に昇進なさったか……抜け目ない…』
恐らく、この戦争を無事勝利で終わらせられれば、次期陸軍元帥はこの、ヘルマン・クレブスだろう。それくらいの強かさがあった方が、まぁ上に立つには良いのだろう
だがクロイツにはその強かさが、狡猾に見えた
だが今はいがみ合っている場合ではない、表情を押し殺し、静かにこの軍議の流れに乗ることにする
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