舞踏会~ラストダンス~

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「これより、我々連合軍は昼夜を問わず駆け、セレーン群島へ向かう。各国友軍との合流予定は、ここよりおよそ400km先、丁度こことセレーン群島の中間に位置する地点で行う予定だ。そこで、無線通信による作戦事項等の確認、その後は目的地までひた走る」 「空軍、及び海軍航空隊は、極力燃料、弾薬を節約するため、衛星より敵航空隊の発進の確認、ないし、艦隊有効射程距離まで要塞に接近するまでは攻撃には移行しない」 「交戦状態となり、敵航空戦力、海上戦力、及び地上戦力に一定の損害を与えた段階で、陸軍の上陸作戦を開始する。ヘリ、揚陸艦は全て放出する。万が一、敵戦力が十分に駆逐出来ていなくとも、強硬する。時間に余裕はないからだ」 海軍、空軍、そして陸軍の最高司令官が、そう口にする 「では、最悪の場合、敵の激しい弾幕の中を、我々は無防備に突き進むということですか?」 そう言ったのは、クロイツだった 本来、このように司令官が話をしている際、いきなり話し出すのは厳禁であるが、そんなことを気にしている場合ではなかった 敵の猛火の中を、非武装の揚陸艦、輸送ヘリで進め、などと言われたのだから 「そういうことになる。だが、その場合は海軍の高速巡洋艦、駆逐艦、並びに空軍戦闘機隊を直奄につける。戦略爆撃機隊、攻撃機隊も最優先で上陸ポイントへの攻撃を敢行させる。その護衛にも戦闘機隊を割く、これは、陸海空軍全てが危険に晒される、最悪の最終手段だ。だが、一応は頭に入れておいてくれ」 「………分かりました」 確かに、これは最悪、下策も下策だ 陸軍は敵の猛火にただ晒され、空軍は部隊を分断せねばならず、海軍は空の支援がなくなり、敵の海空軍を一手に引き受けねばならなくなる そのような事態になれば、苦戦どころの話ではない 敗戦を悟った軍隊が、やぶれかぶれの攻撃を仕掛けるようなものだ
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