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「ですが、敵要塞施設内部へ繋がる中央ゲートは強固なものであると予想されます。あまりに無謀な攻撃の敢行で、そこへたどり着く前に戦力を失うのは、少々危険かと」
クロイツの意見は最もである
事前に確認した資料が正しければ、あのゲートはそうそう突破出来ない
先ずゲートの前から海岸線まで、要塞防衛のための防御陣地が構築されている
これを先ず空軍、ないし海軍航空隊、艦砲射撃等をもって撃破しないことには、上陸すら困難を極める
そしてそれを突破したとして、そびえ立つのが要塞中枢への入り口である中央ゲート
これは完全に内部からのコントロールで稼働する、ちょっとした核シェルターのような構造だ
だがしかし、ゲートという点からして、耐久性には限度がある。壁ならばいざ知らず、扉があまりに重くては、開け閉めもままならない
歩兵携行の武器ではお話にすらならないだろうが、攻撃機やフレースヴェルグの主砲ならば破壊は出来る筈だ
というか、それで破壊出来なければお手上げ、完全に『詰み』な訳だが
「あぁ、あくまでも最後の手段、だからな。焦りは禁物、本当のギリギリまで、我々は諦めたりはせん。君達とて、そういう部隊だったと聞くが?」
海軍元帥が、そう問いかけてきた
「我々は、いかなる任務でいかなる状況になろうとも、諦めたことはありませんので」
クロイツは少し胸を張ってそう応えた
特務小隊の出撃は基本、それが最後の砦となる場合が多い。故に、諦める、などということは認められないのだ
海軍元帥は一瞬、目を見開いてから、笑い声を上げた
「いや、成る程。これはとんだ失言だったな、謝ろう。諸君、私は今、この戦争に希望を見いだせた。この若き前線指揮官を、私は全力で支援することにする。中佐、貴官の活躍を心より祈る」
「恐悦です、元帥閣下」
こうして、クロイツはまた一人、協力な後ろ盾を得た
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