舞踏会~ラストダンス~

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それからしばらく、今作戦に置ける各軍の行動に関する説明が述べられた 各々が、それを念頭に置いた上で、そろそろ終わりかと思った頃、部屋に壮年の士官が入ってきた 白制服に、肩についた銀の飾り紐からして、海軍元帥の副官だろう(銀の飾り紐は指揮権を持たない士官の証。金の場合は将官以上の最高指揮官を表す) その士官が、カンナギ海軍元帥の耳元で何かを報告し、そして書類を手渡した カンナギはそれを一通り見てから、再び視線を卓上に移す 「諸君、たった今、敵に関する情報が入った」 その言葉に、部屋が緊張と沈黙に包まれた 「急遽セレーン上空に軌道修正された衛星からの画像解析が完了し、大まかな戦力が判明した。陸軍は要塞内に多数いると思われ正確ではないが、海軍艦隊、並びに航空戦力についてはほぼ間違いあるまい。傾注せよ」 着席していた指揮官達が、背筋を伸ばす 「まず航空戦力だが、200機近い戦闘機及び攻撃機が確認された。機種からみて、ヴィスチオの空軍が中核とみていい」 空軍士官の瞳に闘士が燃える ヴィスチオは、兵器開発については幾らかルーウェイに劣る部分がある。航空機に関しても、一世代前とまでは言わないまでも、やはり型落ちしている感がある だが 《ヴィスチオは我が国の技術情報を手に入れている………楽観視すべきではあるまい》 クロイツはその事実を知っている 後で、報告せねばなるまい 「海軍戦力については、我が国の海軍が主戦力のようだ。艦艇数からみて、三個艦隊といったところだ。多数のイージス艦、また正規空母も三隻確認されている。うち二隻は、ヴァルチャー、タロスだ。旧式とはいえ、かつては我が海軍の主力だった空母だ。手厚く葬ってやろう」 空母まで持ち出したのか、奴らは 「陸軍は今のところ、地上砲台や防御陣地から見ても、3000は下るまい、といったところだ。内部にどれほどいるかは分からんが。外部の半数、1500程ではないかというのが情報部の見解だ。つまり、5000弱、まさに総力戦となるだろう。諸君らの健闘を祈る、と文末にある。いいな、我々は最後の砦だ。不屈不当の精神を以て、最善を尽くし、敵を撃滅してみせよう。勝利し、生還し、故郷と言わず、大陸に錦を飾るのが、我々の役目だ。各々、心して責務を果たせ。以上だ」 「「「「「はっ!!」」」」」 さすが、元帥の言葉だ ここにいる総員に、喝が入ったことだろう
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