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クロイツがエリスを引き連れてラタトスクに戻ると、すぐに若い士官に艦内へと案内された
艦内には陸海軍の将兵が入り乱れ、せわしなく動いている
この期に及んで、何をそんなに慌てるのか
クロイツには甚だ疑問であったが、別部隊の人間にまでとやかく言うつもりはない
中佐の階級章をつけたクロイツを見て、慌てて敬礼してくる連中に答礼しながら、マカロフ、改めヴェデルニコフ達の待つ場へと向かった
そしてたどり着いたのが、士官休憩室だった
「まさかとは思うが…」
「はい、なんでしょうか」
「この場を、我々だけで使うのか?」
「艦長から、そのように伺っておりますので」
案内をしてくれた士官は、そう告げた
「陸軍の人間に、こんな待遇をしてくれるとは思わなかったな」
「今は、陸軍も海軍もありませんからね。艦長曰わく、我々はルーウェイ軍であり、連合軍の一員、だそうです」
あのシラキ大佐、なかなかの人物のようだ
「分かった。艦長に感謝すると伝えておいてくれ、あと、他の連中から文句を言われたりしたら恨む、ともな」
「分かりました。では、本官はこれで失礼致します」
「ご苦労」
敬礼、答礼のやりとりをして、士官はその場を立ち去った
残されたクロイツとエリスは、部屋の中で待機していた連中のもとへそのまま向かった
「隊長、ルーウェルト中尉、お戻りになりましたか」
「ヴェデルニコフ中尉、エリスで結構です。隊長と同じ姓ですから、ややこしいですし」
「いや、奥さんのことをファーストネームで呼んだりしたら、隊長に睨まれそうで」
「ほぉ、私がそんなに心の狭い人間だと、そう言いたいのか、ハイゼンベルク中尉」
「お兄様と同じ姓だなんて………私は絶対に認めません」
「認めて頂かなくて結構です。法律と隊長が認めていますから」
「た……隊長!!ご結婚は本当に両者の同意の上なのですか?」
「いきなりとんでもない発言をするものだな、イザナミ。私が無理矢理結婚させられたと言うのか?」
「ないと思いますよ、隊長に限って」
「ルフェーブル中尉……淡い希望を打ち砕かないで下さい…」
「何の希望だ」
相も変わらず、こいつらには緊張感がない
修羅場をくぐりすぎて、麻痺したのかもしれないが
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