第1章

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俺と町山は、割れた硝子に気を付けて、外に出た。 そして、小さな梯子をのぼり、給水タンクの下に潜り込んだのだ。 ここが、俺の憩いの場だった。 「勇二、膝枕!」 「はい」 俺は、町山の膝枕で横になり、ティッシュにアンパンを染み込ませて、吸い始めたのだった。 二時間位吸ってたろうか、下が騒がしくなってきたのだ。 「ん?何か騒がしいな・・」 俺が身を起こして、下を見る。 「あっ!茂木っちょだ!」 茂木とは、国士舘大学出の、学生主任で、学校で一番荒い教師だった。 「こらぁ!誰だ上にいるのは!」 そう茂木が怒鳴った。 「ヤバイ見つかったぞ・・」 そう俺は呟くと、アンパン入りの小瓶を靴下に隠した。 町山は恐怖で、顔が青くなっていた。 それくらい怖い教師なのだ。 卒業生に呼び出されても、一人で出向く根性を持っていた。
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