リアル・アリス

アリス、追いかける

「さあ？
僕は生徒会長だけど先生じゃないから」

分からない、とジェスチャーをする。

「そうだ、名前言ってなかったね。
僕は県立和無田高校生徒会長、香野宮 麻瑠駆。
Please call me "Mark".」

「香野宮さん、」

「No,no.Mark.」

「ま…マル、クさん」

そうそう、と笑顔で返す。

「で、君…いや、アリス。
全校集会で聞いたと思うけど、君はこれから白ウサギを追いかけて捕まえてもらうよ。
拒否権はなしだ」

さらっとすごい事言うので頷くしかなかった。

「OK.
今日はもう帰っていいよ」

「はぁ…」

一気に肩の力が抜けた。

翌日。
駅前の自販機の脇にいる瑞希と待ち合わせして登校した。

「アリスってなんだろね」

「私は分からない……ただ」

「ただ？」

「……幸ちゃんは知らないと思うけど、この街は『不思議の国のアリス』をモチーフにしたものがいっぱいあるの。例えばそこの石像、あれはトランプ兵なの」