アリス、見つける

2/13
前へ
/92ページ
次へ
「おはよっ」 「……何で朝からテンション高ェんだよ」 テンション高めの幸を見るなり、右隣の川上 瑛太は俄然だるくなった。 「なんでって、アリスとしての自覚を持ったからよ。いいじゃん、朝から元気なのはいいことじゃない」 「そういうの見てっとだりィんだよ」 むー、と頬を膨らます。 「見ろ。お前の隣、涼しい顔しやがって」 見てみると、左隣の松山 直斗は2人には目をくれず黙々と勉強している。 「松山くんおはよー」 「ん? あぁ、有賀か。おはよう」 それだけ挨拶を交わすと、再びノートに視線を移し勉強を再開した。 「ったく、相変わらず真面目でガリ勉だなァ」 「……授業サボって単位ギリギリの川上には言われたくない」 視線はノートだがしっかり話は聞いていたようだ。 「有賀は宿題終わったのか?」 「へ? 宿題?」 「数学であるだろ。教科書22ページの問題」 慌てて指定されたページを開き、ノートを確認した。既に書いてあった。 「やってある……。自分でやったかどうか忘れてた」
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加