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「Yes,my road.」
優秀な執事が言うようなセリフには耳を向けず、ずんずんと進んでいった。
「やれやれ。聞いてないね。
意味分かったかな?」
麻瑠駆は対照的に穏やかに微笑みながら彼女のあとをついていった。
「ん~……
もしかしたらこの店かな」
怒りが収まり街の人に見られたり声かけられたりしながらとある店の前で立ち止まった。そこには『松山帽子店』と暖簾があった。
「ここ……松山くん家じゃない」
「松山…もしかしてナオトのことかな?
彼は見た通り帽子屋だからね」
一緒に探したことがある彼なら何か知ってるかもしれない。本人がいるかどうか分からないけど、とりあえず店内に入った。
「いらっしゃいませ……って、有賀じゃないか。その格好……」
「松山くん!
店番してるんだ~偉いなぁ」
もう自分の姿を恥ずかしがることも、そもそも自分が何を着ているかどうでもよくなってきた幸はクールに応対している彼に感心している。麻瑠駆も後に続いた。
「せっかく来たんだ、少し休んだらどうだ?」
言葉に甘えて、少しの間、奥のリビングで休むことにした。
「ウチに来て、何かあったのか?」
「実は……」
幸はこれまでにあったことを話した。
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