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「なるほど。それは大変だったな」
「でしょ!
あの目付きにあの態度! いくらなんでもあれはないでしょ?」
彼女は思い出して再び怒りを露にしているが、直斗は対照的にクールかつ真剣に聞いている。
「有賀、これから大変なことになる。ある程度は覚悟しておいた方が利口だ。
今は俺たちがいるからまだ安心できるが、あいつは1人でいる女子にはとことん攻撃するからな、気をつけろ」
「うん。でも香野宮さんもいたから大丈夫」
気まずい顔をする。
「……虫の居場所が悪かっただけだ」
「随分性格悪い人なのね」
「今はそう捉えてろ」
直斗は知っている。ちらっと斜めにいる麻瑠駆を見た。そして再び難しい顔をした。
するとどこからかカラカラと音がした。音のほうを見るとハムスターが滑車の中を走っている。
「松山くんハムスター飼ってるんだ~。カワイー!」
「あ、あぁ。
白地に黄色の斑で、ルチルクォーツって石に似ているから『ルチル』って言うんだ。
普段はずっと寝てるが今日は珍しく起きてるな」
ルチルのおかげで話題が変えられる。彼は内心ホッとした。
「ところで、カードがどうとか言ってたな」
「うん。知らないかい?」
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