プロローグは激痛と共に

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目を覚ますと、見知らぬ天井が目に入った。 知らない天井だ…… って、それよりここは何処だ? たしか、大学から帰るためにバイクに乗って家に帰る途中だったよな。 じゃあ、何で知らない天井が広がっている? 自分が今どんな状況に居るのか知ろうとするが、身体が思う様に動かない。 体も何処か熱っぽいし、目は霞むし、だけどその割りに意識は無駄にはっきりしている。 アンパンマンも顔が濡れるとこんな感じなのかね。 ってそんな事はどうでもいいな。 あっ、なんか朧気だけど思い出して来た。 たしか教授の資料作成に付き合わされて帰りが遅くなったんだよな… それでかなり遅くなったから原付を走らして家に帰ろうとしてて…… 通学路の途中にある信号が青になったから渡って……… 轢かれた。 衝撃の事実に体を咄嗟に起こそうとすると、先程まで感じなかった激痛が全身を駆け巡る。 「う…ぐぁ…」 今まで積み重ねて来た人生の中でも類を見ない痛みに、呻き声と冷や汗が自然と溢れ出し、最後には途方もない疲労が一気に押し寄せて来る。 「目が覚めたようだね」 俺の呻き声を聞きつけたのか、何と無くではあるが誰かがこちらに近づいて来るのが分かる。 「大丈夫かい?」 椅子を引く音と一緒に気配が隣で座ったと思うと、先程と同じしわ枯れた声が聞こえてくる。
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