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おれはその顔を見て、すぐにピンと来た。
双子書記の香山柚に、香山花梨だ。
髪の毛も、顔も、服装も、言動もすべて一緒。
黒子の位置でさえ、ミリ単位で狂いなし。
そんな、おはぎとプーコも吃驚な双子。
別名。
ハンプティ・ダンプティ。
「コイツが、俺を無視するんだ!!」
岩崎優太が、俺を指差す。
「それは、ひどいね。」
「それは、うざいね。」
双子は口を揃える。
いやー。
無視したつもりはなかったんだけどなー。
「優太が聞いてるんだから答えなよ。」
「優太が聞いてるんだから言いなよ。」
ちらりと横目で優人を見ると、頭を抱えて唸ってる。
名乗っていいのかね?
優人さん?
おれは、メモ帳とシャーペンを持った。
3人が不思議そうに、俺が書いているのを覗きこむ。
[ごめんね?俺に話かかけてるとは思わなかった。無視した訳じゃないんだけど。あと俺、喋れないの。]
書きおわると、3人に見せる。
「なんだ!そうなのか!」
岩崎優太が、納得したように頷いた。
3人が読み終わったのを確認してから、またメモに書いていく。
[俺の名前は、佐藤うみ。]
「佐藤うみだな!?うみって呼ぶから、優太って呼べよ!!俺達友達だな!!」
わぁお。
図書室警備員の俺に、たった数時間でお友達が増えました。
今日のミラクルを、忘れることはないでしょう。
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