姫は嘆き悲し‥そんな場合じゃねぇ!!

4/16
前へ
/47ページ
次へ
 ̄ おれはその顔を見て、すぐにピンと来た。 双子書記の香山柚に、香山花梨だ。 髪の毛も、顔も、服装も、言動もすべて一緒。 黒子の位置でさえ、ミリ単位で狂いなし。 そんな、おはぎとプーコも吃驚な双子。 別名。 ハンプティ・ダンプティ。 「コイツが、俺を無視するんだ!!」 岩崎優太が、俺を指差す。 「それは、ひどいね。」 「それは、うざいね。」 双子は口を揃える。 いやー。 無視したつもりはなかったんだけどなー。 「優太が聞いてるんだから答えなよ。」 「優太が聞いてるんだから言いなよ。」 ちらりと横目で優人を見ると、頭を抱えて唸ってる。 名乗っていいのかね? 優人さん? おれは、メモ帳とシャーペンを持った。 3人が不思議そうに、俺が書いているのを覗きこむ。 [ごめんね?俺に話かかけてるとは思わなかった。無視した訳じゃないんだけど。あと俺、喋れないの。] 書きおわると、3人に見せる。 「なんだ!そうなのか!」 岩崎優太が、納得したように頷いた。 3人が読み終わったのを確認してから、またメモに書いていく。 [俺の名前は、佐藤うみ。] 「佐藤うみだな!?うみって呼ぶから、優太って呼べよ!!俺達友達だな!!」 わぁお。 図書室警備員の俺に、たった数時間でお友達が増えました。 今日のミラクルを、忘れることはないでしょう。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加