姫は嘆き悲し‥そんな場合じゃねぇ!!

11/16
258人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
 ̄ そんなときは。 [絵しりとりしよっか?] 俺の提案を見せると、優人が首を傾げた。 「なんすか?それ。」 なんと! 絵しりとりを知らないなんて!! [絵でしりとりするの。言葉は書いちゃダメなんだよ?] それでも、よく分かってない様子。 [やってみれば、分かるって。簡単だから。いくよー?] 俺はメモに、林檎の絵を描いて矢印を書いた、ペンを優人に渡す。 優人は首を傾げながら、ペンを走らせていく。 書き終わったらしく、俺はメモとペンを渡された。 優人の書いた絵を見つめる。 優人さん、優人さん? やり方はあってるよ? やり方はあってるけど。 なんですか、これ? そこにはくねくねと、きれいに描かれていない丸が一つ。 メモの持ち方が悪いのかもしれないと、メモを回してみるがさっぱりわからない。 これはなんの絵なんだ? 「先輩?」 不思議そうに、顔をのぞきこんでくる優人。 わかった。 ここは恥を忍んで聞こう。 [これなに?] 「え?言っていいんですか?」 [駄目。だけど、俺の負けでいいから、答えを教えて?] 「えっと。ゴムですけど?」 嘘でしょ!! 俺は、掠れた息しか出てこない喉を使って笑う。 声が出ていたなら、さぞうるさかっただろうよ。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!