258人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
 ̄
そんなときは。
[絵しりとりしよっか?]
俺の提案を見せると、優人が首を傾げた。
「なんすか?それ。」
なんと!
絵しりとりを知らないなんて!!
[絵でしりとりするの。言葉は書いちゃダメなんだよ?]
それでも、よく分かってない様子。
[やってみれば、分かるって。簡単だから。いくよー?]
俺はメモに、林檎の絵を描いて矢印を書いた、ペンを優人に渡す。
優人は首を傾げながら、ペンを走らせていく。
書き終わったらしく、俺はメモとペンを渡された。
優人の書いた絵を見つめる。
優人さん、優人さん?
やり方はあってるよ?
やり方はあってるけど。
なんですか、これ?
そこにはくねくねと、きれいに描かれていない丸が一つ。
メモの持ち方が悪いのかもしれないと、メモを回してみるがさっぱりわからない。
これはなんの絵なんだ?
「先輩?」
不思議そうに、顔をのぞきこんでくる優人。
わかった。
ここは恥を忍んで聞こう。
[これなに?]
「え?言っていいんですか?」
[駄目。だけど、俺の負けでいいから、答えを教えて?]
「えっと。ゴムですけど?」
嘘でしょ!!
俺は、掠れた息しか出てこない喉を使って笑う。
声が出ていたなら、さぞうるさかっただろうよ。
最初のコメントを投稿しよう!