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「えっと。誰か立候補する人はいないですか?」
若干うじうじ気味のHR委員がぼそぼそと話している。
「…文化祭を盛り上げるためにも協力してください…」
どうやら文化祭のクラス委員を決めているみたいだ。
男女各一名。
委員になったあかつきには、もれなく徹夜覚悟のクラス企画全般を任される。
誰もそんな貧乏くじを引きたくはない。
俺は自分とはまったく関係ない話と割り切り、まるで、別世界にいるかのように外を眺めていた。
「はい!はーい!私、委員やるっ!」
クラスの空気を変えたのは、奏の立候補だった。
瞬く間に、拍手喝采。
「決まらないみたいだし、もう一人は私が決めていいかな?」
クラス中の人が自分に関係ないと思っているのか、奏の意見をすぐさま了承した。
ただHR委員だけが、何か言いたげにもじもじしていた。
だが、今のこの勢いに押され、誰も何も言えなかった。
「もう一人は……」
何だろう。
何かが近付いてきた。
「こいつにします!」
不意に俺の腕は高く挙げられた。
状況がわからず周りをキョロキョロ見回すが、拍手ばかり。
どうして俺が………
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