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来賓室には豪華なソファーやスツールかなりあり、バーカウンターまである。
これできれいなお姉さんがいれば、キャバクラが開店できそうだ。
ただ、現実はおじさん10人位とおばさん2人の、夢とは程遠い状況なのが残念だ。
「すっげ」
俺が驚いていると、佐藤さんがバーカウンターの裏に行き、俺を手招きした。
カウンターの上にグラスを置き、水を注いでくれた。
「こんな時は酒のがいいが、酔ってる間に人生終わらせたくないからね。」
“かっこいい”
こんな異常事態にも関わらず、努めて冷静に振る舞う佐藤さん。
見た目もメタボとは無縁で、小泉元首相のようなロマンスグレーの髪型も似合っている。
さっきの大声を差し引いても惚れてまうやろ~って感じだ。
“こんな大人になりたいなぁ”
いつ死ぬかも分からない状況なのに、20年も30年も先の夢を思い描いてしまった。
「どうした。取り敢えず飲んで落ち着け。」
ボーッとしてた俺に声が掛かった。
「すみません。すみません。
恐縮です。
頂きます。」
水一杯に対して、明らかに過剰な低姿勢でお礼をいい、一口飲んだ。
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