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「細野さん、ちょっといいか」
佐藤さんは、清水おばさんに捕まれている白衣の人に声をかけた。
細野さんと呼ばれた男性は、白衣を掴んでいる清水おばさんの手をお詫びをいいながら外している。
清水おばさんのマネージャーらしき人も手伝い、手が離れた。
細野さんがこっちに向かって来た。
清水おばさん達も怒りの形相で一緒に付いてくる。
はっきりいって、ゾンビよりこっちのが怖い。
俺は目が合わないよう、水の入ったグラスをガン見しながらチビチビ飲んだ。
「あんた、この人の上司?
あんたの会社何考えてんのよ!
早くこっから出しなさい。
出たら絶対訴えてやるからね!」
“出たら訴えるって言ってる人を、喜んで外に出すバカいるか?”
おばちゃんの支離滅裂要求に唖然としてしまった。
しかし佐藤さんは違った。
「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。
私は彼の直属の上司ではありませんが、常務をやらせて頂いております。」
“じょ、常務だったんだ”
役職に弱い俺はドン引きした。
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