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「常務ありがとうございます。」
細野さんがお礼を言った。
その時、佐藤常務の表情が厳しくなった。
「細野、これは想定内か想定外か、どっちだ?
彼の話しだと、既に10人以上が犠牲になってるぞ。
セーフティーネットは引かれてるのか。」
声は小さいが、重みのある口調で問いただした。
「いや、あの、私達のシミュレーションでは、考えられない出来事で、まさかあそこで交わるなんて…」
「言い訳はいい!
まさかと言う事は想定外なんだな。」
「は、はい。」
俺が聞いていちゃいけないような話しだが、席を外すタイミングを逸してしまったので、どくように指示されるまで聞く事にした。
「いくら想定外でも例のシステムで、ある程度抑えられるはずだろう。」
「いや、あの、あのシステムは入ってません。
すみません。」
佐藤常務の顔が更に厳しくなった。
「なんだと。
お前ら研究チームは何をしてるんだ。
俺は元々反対だったが、イザという時はスプリンクラーから中和剤を撒いて消毒出来るからと説得されたから、渋々役員会で同意したんだぞ。」
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