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他の人達のほとんどが、今の大きな音でこっちを向いている。
一番奥に佐藤常務がいるのも見えた。
「すみません。お医者さんいますか?」
さっき騒いでいたおばちゃん軍団は倒れた細野所長を見て笑っている。
「誰か、医者の方ぁ。」
誰も前に出ない。
「どうした!」
佐藤常務が駆け付けてきた。
「あ、あの細野さんが俺だけで」
「こ、こいつがやったんです。
俺の腕を折りやがった。」
俺が言い訳を言うより先に、細野所長が涙目で叫んだ。
佐藤常務は俺を横目に細野所長に近づいた。
しゃがんで痛がる腕を手に取った。
「ウアァ」
細野所長が悲鳴を上げる。
「指は動くか?」
佐藤常務の指示で、折れた腕の指を動かした。
「よし、骨が折れたか、外れただけだろう。
勝俣先生、すみませんがこっちも見てもらえますか?」
髪は短く、肌は浅黒く、Tシャツ、短パンの姿は見るからに元気が売りのタレントそのものの人が歩いてきた。
「仕事させますねぇ」
しかし、予想に反して、声が超小さかった。
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