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「あ~っ、こりゃ折れてるね。」
「痛い痛いやめろ~」
勝俣先生は折れた腕の手と、上腕を両手で持ち、グリグリしている。
「ふん」
「ギャアアアア」
細野所長の悲鳴が響いた。
「あ、あんた何するんだ」
汗だくで文句を言っている。
「ん~、これで骨は真っ直ぐになったよ。
後は~」
周りを見渡し、すりこぎ棒を手に取った。
「これで固定しとけばいいよ」
細野所長の文句を意に介さず、ネクタイで巻き付けた。
「ぎゃ、ぎや、ぎゃあ」
その間も悲鳴は続いた。
「一体何があったんだ?」
その光景を見ながら、佐藤常務が聞いてきた。
「あの、すみません!」
深く頭を下げる。
「思わずカッとなってしまいました。
でも、こんなケガをさせるつもりはありませんでした。」
骨折させた事に動揺し、素直に謝った。
「俺に謝っても仕方ない。
何があったかを言えばいい。」
さっきまでの穏和な表情ではなく、厳しい表情で聞いてきた。
「お、俺一人で外に行って来いって言われたんです。
しかも、倒して来いとか言って。
それに、飲み物が気に入らないとか、俺がゾンビを倒したのは嘘だとか、お前なんかが倒せるはずないとか言われ、頭が真っ白になってしまいました。
気付いたら飛び掛かっていました。
本当にすみません。」
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