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江本というのは、さっき奥で診ていた人の事だろうか?
一人なら抑えておけば平気な気もしたが、黙って聞いた。
「あいつは見たところ大きなケガは無かった。
体を調べたら、腕にちょっとした傷があっただけだ。
そこから、全身に変色が広がっていっていた。
もしその傷が原因なら、この中にまだいるかも知れない。
全員に聞いても、正直に言うとは思えない。
だから、逃げ方を教えてそれぞれ行動するしか無いんだ。
江本の死はお前の責任でもあるんだからな。」
細野所長は、勝俣先生に腕を縛られながら黙って聞いている。
顔をしかめ、痛いのは我慢しているようだ。
「みんなが騒ぐ前に移動したい、どっちに行けばいい?」
細野所長の襟を掴み自分の顔に引き寄せる。
「いつっ」
揺らされて痛むのか声が漏れる。
「想定外なのは事実です。
だから確実というルートは無いと思います。
ただ、彼が倒せたという事実から、正面から出ていくのがいいと思います。」
俺でも答えられそうな返事を返した。
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