1:下僕になりました

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「風紀バッチ。付けておけ」 投げ渡されのは、金色の丸いバッチ。よく見れば桜庭先輩のブレザーの襟に付いてるのと同じものだ。 つまりもう、風紀委員から逃げられない、ってことですね。 死亡フラグ!! オレは怒られる前に桜庭先輩と同じように、ブレザーの襟にバッチを付けた。 バッチと言う名の下僕の証を。 「で、あの、桜庭先輩…」 「茶」 「へ?」 「茶を煎れろ。俺が5数える間に」 下僕タイムがもう始まった訳ですか!? て言うか、5数えるって、5秒!? 「1、2、3、4、5」 もう数え終わったんですか!? 何その鬼畜スピード!! 動こうとする前に終わったとか、いや、人間にはそれは無理じゃないでしょうか!? 「ちっ! 全く使えないな、お前は」 舌打ちが教室内に響き渡るくらい、桜庭先輩は不機嫌です。 イライラしてる桜庭先輩のために、慌てて茶を要れた。 「不味い」 一口飲んで、眉間に皺が寄ったかと思った瞬間、湯呑みをひっくり返して床にぶちまけた。 え、…えっと……? 「美味い茶も煎れられないのか、お前は。早く煎れ直せ、迅速に、今すぐ」 桜庭先輩の命令に、脳よく早く体が動く。 さっきよりキチンと分量を考えて煎れる。 「不味い。煎れ直し」 またぶちまけられる。 オレは慌てて床を拭いてから、また煎れ直す。 「不味い」 また床を拭いて…… 「不味い」 ………。 一体何回煎れ直したのだろうか。 むしろ、これは新たな遊びでしょうか? 「……不本意だが、まぁお前のレベルなら、これで許してやる」 ようやく桜庭先輩は、ぶちまけることなく、お茶を飲んでくれてます。 オレはもうクタクタで、床に倒れ込んだ。 オレは今、限界の壁を越えました。 「許可なく寝るな」 「うぁ!!」 頭を思い切り踏み付けられる。 桜庭先輩はやっぱり鬼だ!! 普通人間を踏み付けるなんて有り得ない、しかも頭!! と思っていたら、踏み付けていた足が、顎にかけられて顔を無理矢理上げられる。オレ、こんな体勢初体験です。 「お前には下僕としての自覚が足りないようだな」 不機嫌そうな桜庭先輩。 いっそ、下僕ってどんなことをするんですか? 「室戸、お前は俺のために何でもすると言った。お前が生きるも死ぬのも、俺が決める。お前の命は俺の物だ」 お前の物は俺の物的な、ガキ大将よりも遥かに上を行っちゃってました。 横暴だぁー!!!!
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