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風紀委員長サマの後を追い掛ければ、中央棟の3階の一番奥の教室の前に来ていた。
この教室の周りは資料室やらコンピュータ室やらあまり来たことのない教室ばかりで個人的には物珍しかった。
生徒の教室は大体2階や3階の中央に設けられていて、1年のオレは2階に教室あるから、あまり3階とか来たことなかった。
ちなみに4階には広々とした音楽室や生徒会室とかあるみたいだ。
「こ、ここが風紀委員室、ですか?」
「そうだ」
ついに風紀委員長サマの拠点に近づいてしまった。
入っちゃったら最後、後戻り出来ない……!!
いや、今更逃げられないけど。
風紀委員長サマは当たり前のように教室の戸を開く。
「……わぁ」
割と普通だった。
部屋の中央にあるのは長机がひとつポツンと置かれていて、パイプ椅子が2つ並べられているだけ。
棚にはファイルがさほど多くなく並んでいる。
生徒が使う机が長机より奥に3つほど並んでいて、その机にノートパソコンが1台ずつ置かれていた。
普通、と言うより、少し淋しいイメージ?
「あれ…風紀委員長」
「室戸、俺をわざわざ役で呼ぶな。桜庭佑と言う名前が、一応あるんだが?」
「す、すみません! あ、あの桜庭先輩」
風紀委員長サマ…もとい、桜庭先輩は、もしかしなくとも、風紀委員長と言われるの好きじゃないのか?
「で、なんだ?」
「風紀委員は…他にいない、んですか?」
辺りを見渡しても、この教室にはオレと桜庭先輩しかいない。
「いるが、今は休学中だ」
「休学中……?」
よかった。他にいるんだ。桜庭先輩と二人きりとかだったら、本気でいつ殺されるか、わかったもんじゃない。
でも休学中って…どうしたんだろ?
「あの、病気か何か、ですか?」
「あの男が、病気や怪我で休むはずはない。俺が副委員長に選ぶくらいの男だ、そう簡単に死ぬ人間じゃない」
そうですよね。
と言うかその人副委員長なんだ…
桜庭先輩が認めるくらいなんだ。すごく超人的な体をした、菩薩のように心が広い人に違いない。それかメカ。
だってこの鬼のような桜庭先輩と共に過ごせるなんて、すごいじゃないか。
オレなら今すぐにでも死ねます。
「来週には戻るだろ」
そう言いながら、桜庭先輩は棚の引き出しを引っ張って、何かを取り出す。
なんだろ、あれ。
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