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そして気付いていない来訪者さんは、座り込んでるオレに近付いてくる。
お願いです、来ないで下さい!!
「やぁ、子羊くん。君、風紀バッチを付けているところをみると、風紀委員なのかぃ?」
「は、はい…」
「じゃあ桜庭のペットとして、飼われるのかぃ?」
「ペッ……」
酷い!!
でも、下僕とどっちが酷いか、オレには判断出来ないけど、ペットって愛玩動物だよな?
じゃあ下僕の方が酷いんですね!!
「そいつは俺の下僕だ。俺の許可なく話し掛けるな」
「おや、僕が子羊くんに話してて寂しかったのかな、桜庭。大丈夫、君の方が好みだよ」
「もういい。お前は早く西園寺の元に帰れ。それか死ね。いやむしろ死ね。そしてもう二度と姿を見せるな」
話が噛み合うことがなさそうだ……
でも、来訪者さんはどこか嬉しそうに顔を輝かせてるのは、どうしてだろう…
「そうだった! 桜庭と遊ぶのに夢中で、僕のスリーピングビューティ・西園寺が起きる時間を忘れていたよ!! あっはっは、ごめんよ、桜庭。美しい僕は次に美しい西園寺の元に帰るよ! ではアデュー!!」
饒舌に言うと、軽やかな足取りで去って行った。
何だったんだ……あの嵐みたいな人は。
「室戸」
「は、はい!」
「塩を撒いておけ」
頭を抑えてる桜庭先輩の命令を逆らわぬように、軽く塩を撒いておいた。
「あの……桜庭先輩」
「何だ」
「あの人、誰だった、んですか?」
その問いに、桜庭先輩の眉間に皺が思い切り寄った。
す、すみません…出来心で聞いてすみません…!
「あいつは、生徒会のゴ……副会長の田畑謙次郎。ただの変態だ」
ゴミ、と言おうとしたんですね。
「副会長…か、変わった人、でしたね……」
「関わらないに越したことはない。奴に出会ったら、近寄って来る前に逃げるか倒せ」
「はい、わかり……倒すんですか!?」
「奴は殺しても死なないゴキブリだ。だから倒せ」
さっきのは「ゴ」はそれだったんですね……
よし、オレは会ったら逃げます。
「大体、生徒会の奴らがキチンと取り締まらないから、風紀委員会なんぞ出来たんだ。明らかな生徒会の怠慢だな」
「そうなんですか?」
そういえば、風紀委員会って……生徒会が間に合わない風紀を正すのが仕事、だっけ?
よくわからないけど……
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