2:下僕ライフ、始まります

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「…君が、風紀委員なんですね」 澄んだ声色に頷けば、彼は眠たげながらもニッコリ笑って、携帯を取り出す。 誰かに電話? 「……あぁ、私です。どうも、…切られてしまいました」 彼はやれやれ、と言った表情でもう一度携帯を操作する。 「……私です。あぁ、大丈夫です。用件だけ伝えて下さい」 丁寧な敬語に、相手はさっきの人物とは違うのかな。 「君のとこの子が、捕まってますよ、と」 ニッコリと笑い、流れる動作で電話を切る。 そして、オレ達を一瞥すると、またニッコリ笑った。 「私は行きますので」 何事もなかったように、手を振って去ってしまった。 誰だろ…あんな感じの人がこの学校にいたなんて意外だ。 何て表現すれば…王子っぽい? 違うかな。 「期待すんな」 「え?」 「あいつは少なくとも、お前の味方じゃねぇよ。んでオレの敵」 「はぁ」 何だ。すごく謎なんですけど… 彼は赤先輩の敵で、オレの味方じゃない、ってことは……どっちも良い意味じゃないよね? じゃあ近付かないでおこう……て、赤先輩が急にオレの顔を手で覆ってきたのはなんですか? 目の前が真っ暗になった。 「で、こいつもオレの敵」 低いトーンが響く。 えと…どなたかいらしたんですか? あ、でも、この殺気はどうかで感じたことあると言うか、本能で誰かわかるオレ。 「……室戸。お前は見回りひとつも出来ないのか」 声の主は、オレのご主人様でした。 「桜庭、先輩…」 明らかな殺気に恐怖するけど、唯一の救いは赤先輩に目を隠されてて、桜庭先輩の顔を見なくて済むとこ。 「大地」 あ、相川先輩もいる。 よかった。桜庭先輩単体だったら、存在を消されてたところです。 「夫婦が揃ってこんなトコに何の用だぁ? シチュ変えてヤる方が燃えるってか?」 「声を出すな。虫ずが走る」 うぉ…ビリッとした空気。 何ですか!? 仲悪いんですか!? 超絶怖いんですけど!! 見えないのって、意外に怖いものなんだ!! 「そんなことより、天下の風紀委員長サンよぉ。大、オレにくれよ」 「……は?」 「大?」 赤先輩のぶっ飛んだお願いに、桜庭先輩の呆れた声色と、相川先輩の疑問が聞こえた。
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