神様がくれた君

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送信メールを見つめ、ため息を吐いた。 「好き…」 送れない内容を呟いた。そして右手の親指は電源のボタンを選んだ。 友達のままで本当にいいなら、こんなに胸は切なくないのに。 寒い街、もうすぐ恋人たちが浮かれ始める時期、イルミネーションきらめく街。 あんな風に俺もなれたら…なんて、見ず知らずのカップルに憧れを抱いた。 そして、今夜会いたい人は一人だけ。 隠し通してきた想い。 だけど、もう嘘はつけない。 君じゃなきゃダメなんだ、と心が叫んで止められへん。 神様お願いだよ、この想いが叶うなら。 これ以上なんにも欲しがらへんから。 お願いだよ、この力のかぎりで、ヒロを守ると約束するから。 あたたかなコートも、やっと憶えたギターも、土曜日も日曜日もどんな宝物も。 お願いだよ、俺のすべてにかえてヒロを守ると約束するから。 永遠に、永遠に。 初めて言葉をかわした時から、何処かでずっと気付いていたんねん。 ヒロがただ笑ってくれるだけで俺は果てしなく幸せになれた。 そう側にいれたら…それで良い、それで良いと何度も自分に言い聞かせてきたけど。 いつの間にか、我慢ができなくなっていた。 .
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