君が好きだけど……

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ある朝、俺はふと思った。 目覚めた横に君がいれば、って。 『俺と一緒に住め』 『強引すぎるやろ』 ヒロは呆れたように笑っていたが、合意してくれた。 次の日俺はヒロを誘い、二人の部屋を探しに行った。 『やっぱりパジャマはプーサンやろ!』 『無理』 二つの枕におそろいのパジャマ。 君はそうゆう事を嬉しがっていた。 『お前ウザいねん』 『は?亮ちゃんいつも僕のこと気にかけてくれないからやん!』 『俺やって友達が居るし、そいつらを優先したい時もあるわ!』 『いつもそう言うやんか!』 ある日、いつもより大きい喧嘩をして、泣きながら俺に言ったね。 「言葉がたりないよ」と…。 君のためならできること、数えきれない程あるけど。 言葉にしたくない。 俺がここにいる事と、君が側にいる事。 ただそれだけで全てを語れるから。 「ヒロ……こんなのも買ってたんや」 あまり開けない食器棚を見れば、中にはシンプルなマグカップ。黄色とピンク、二つが並んでいた。 あれからずっと俺は一人で、君の脱け殻と暮らしてるよ。 .
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