抜けがらさえ愛しい

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ヒナが居らんと何も出来ないわけじゃない。 そう思ってやかんに火をかけた。 長いことヒナと2人で過ごした部屋に今はひとりぼっちの俺。 紅茶を飲もうと思い探すが、紅茶のありかが分からん。 「やっぱりいらん。」 そう呟いて火を止めた。 ヒナが出て行って3日が経った。 いつも朝食はヒナが作っていてくれた。今は自分で作るがあまり美味しくない。 何もすることが無くてチェアーにドサッと座る。 チェアーは一人掛けで俺が座ると 「いつもヨコばっかり座んなや!!」 って言われて少し窮屈に感じた存在。 ほんまは膝の上に座ってほしいのに…。 そんなこと思いながら淋しさを感じていた。 今はソファーに座っても怒る人は誰もいない。 やっと自由を手に入れた。 だけど、ヒナという存在の消失。 俺はもっと淋しくなった。 .
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