抜けがらさえ愛しい

3/4

310人が本棚に入れています
本棚に追加
/126ページ
暇やし、掃除するかな? そう思い立ち、洗面台に行く。 2本並んだ歯ブラシ。 ヒナのは捨てよう。 ヒナの歯ブラシを手に持ちごみ箱に捨てる。 「よし、ここはOKや!!」 次に寝室に行き、クローゼットを開ける。 ヒナの趣味で揃えられた俺の服。 もったいないけど、全部ごみ袋に入れた。 “男なら、潔くや!!” そう思ってヒナとの思い出を捨てようとしている俺は他人から見たら、かなりかわいそうな男やな。 フフッ、と小さく笑った。 “やっぱり…” 俺はごみ袋に捨てた服を全部出してクローゼットに戻した。 歯ブラシもまた2本並べた。 ヒナの抜けがらと一緒に暮らそう。やっぱりまだ忘れられへんから。 こんな生活も幸せやろ? .
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

310人が本棚に入れています
本棚に追加