どれ程の傘があれば君は濡れずに済むだろう?

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「東京か…。」 歌で勝負しようと思い、家族、友人、恋人の反対を押しきって上京する。 応援してくれる人は、誰一人として居ない。 それでもええ。一人で駅まで来た。 ここからスタートだ。 駅を歩いていると夕立のホームの隅でたたずむ見覚えのある姿。 あっ、すばる君や。 すばる君もこっちに気付いたみたいで歩いて近づいて来る。 僕を見つめたまま目の前まできた。 「まる…。」 か弱く今にも泣き出しそうな声。 「何で来たんですか?」 冷たく言う僕。 「ごめん。だけど、ほんまに行ってしまうんや。俺を…置いて行ってっ…しまうん?」 これ以上何か言えば大きな瞳が涙で濡れそう。 「置いて行くもなにも、僕はすばる君が邪魔になっただけです。もう好きでも何でもない。」 感情の無い声で言う。 「じょ…、冗談やって!!何や困らせてごめん。俺も、もうまるに…未練はないから…。」 無理に笑っているすばる君。あなたの目が徐々に赤に染まる。 .
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