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「もう行きますね。」
その姿を見るのが耐えきれなくなり、その場を離れた。
すばる君の横を通り過ぎ電車を待つ。
「まる…。」
まだ聞こえる愛しい人の声。
後ろを振り返るとすぐ後ろにすばる君の姿。
「まる…、頑張って。俺、ずっと応援しとる。」
泣きそうになりながらも笑うすばる君。
あなたは、こんな僕を応援してくれるのですか?
すばる君を捨てて、今もこうやって冷たくあしらう僕を応援するんですか?
プシュー…
後ろを振り返ると電車が来た。
何も言わず電車に乗り込む。そのまま歩いて座席に座った。
窓の外で僕を見るすばる君が窓の方を見なくても視界に入る。
プルルルル…
発車の合図と同時にゆっくりと動き出す電車。
思わず外を見る。電車の動きに合わせてすばる君も歩く。
涙を流しているすばる君。
とっさに窓を開けようとしたけど、開かなかった。
すばる君が何か叫んでいたが聞こえない。
僕は口元を見る。
「ス…キ?」
“好き”
そう言ってるの?
「好き!!好き!!」
何度も叫ぶすばる君。僕も答えたい!!
だけど、もうホームが無くなる。
するとすばる君の足が急に止まった。段々遠ざかる景色と君。
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