あの時に気づいていれば

2/4

310人が本棚に入れています
本棚に追加
/126ページ
季節が巡る時間が、きっと誰よりも長かった。 会いたい気持ちっていうのは切ない。 きっとそれは “運命”を変えられなかったからだ。 まるに振られて、まるを遠くへ見送って1年以上が経った。 俺はずっとまるを忘れられなかった。 周りからは、 「早く忘れろ。」とか、「あんな奴と居っても幸せになんかなれなかった。」とか色んなこと言われた。 だけど、忘れられへんかった。 ずっとずっとまるを思っとった。 そんなある日、ボーっと音楽番組を見ていた。 そこに映った一人の男。 紛れもなくその人は、俺の愛しい人。 まるや…。 まるはこの番組で期待の新人アーティストとして出演していた。 俺はテレビに釘付けになって見た。 まるがテレビに出とる。 そう思うと嬉しくなった。 他の歌手が次々と歌っていった。 俺は早くまるに歌ってほしかった。CMさえも長く感じた。 遂に司会者がまるを紹介した。 ギター一本だけで歌うまる。 俺の知ってるまるやった。 だけど、あの時より歌は上手になっていた。 まるが楽しそうに伸びやかに歌っている。嬉しくて、涙が出た。 .
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

310人が本棚に入れています
本棚に追加