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「あの頃の俺らってさ、同じような事でぶつかり合っていたよな。」
すばる君はその時を思い出すかのように天を仰いだ。
綺麗な髪が地面に近づく。だけど、あの時より短くなった髪。
髪を切るだけで忘れられるような恋じゃなかったんですね…。
3年目のジンクスなど怖くないけど、もっと近くですばる君を感じていたいです。
防波堤に打ち寄せた波の飛沫を浴びたすばる君は
「うわっ!!」
と言って足をひょいっと上げた。
出会った日もそうやった。
あの時も波の飛沫がすばる君の服を濡らしていた。その姿が愛しくて、恋におちた。
あの時の情景が目の前に広がった。
あの時がReplayしとるようやった。
「すばる君!!」
水とじゃれ合っているすばる君を呼んだ。
「ん?何や?」
すばる君は僕を方を向いた。僕は真っ直ぐ目を見つめて言う。
「はぐれたときの隙間ならきっとすぐ埋まりますよ。」
ためらいのない想いが甦る。
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