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「さっきまでの通り雨がウソみたいなキレイな空やな。」
そんな風にたっちょんがほほえむから、いつのまにかうれしくなる。
髪がまだ少しだけ濡れているたっちょんは、部屋の窓を通して空を見ている。
僕も床に座ったまま窓を見上げた。
ちょっと大きなたっちょんのシャツ。通した袖をつまんでみた。
僕、恋をしている。哀しいくらい。もう隠せないこの切なさは。
“もっといっしょにいたい”
“ふたりでいたい”
叶えてほしい夏の憧れ。
たっちょんの部屋で話し込んで汗かいたアイスティー。
「ヤス、こっち向いて!!」
「ん?」
パシャ、ときられたカメラのシャッター。
「ヤス変な顔や!!」
「ちょ、たっちょん!!そんなんずるいわ~!!」
「ええやん!!あっ、それなら2人で写真撮ろうや。」
2人ではしゃいで撮りすぎたポロライド写真。
あんなふうにハシャイだから帰り道はさみしくなるよ。
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