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端整な容姿が今消したタバコのスモークで半減する。
くちゅくちゅ、と耳鳴りの奥で響くいやらしい音。ベッドの上で二枚の舌が俺の口の中でお互いを探りあう夜。
「ヨコ…抱いて。」
これはつい1時間程前の俺の台詞。
ヨコが好きでただ一緒に、近くに居れるだけで良かったのに、愛を、身体を求めて遂に言ってしまった。
そして今の行為に至る。
「ヒナ、愛してる。」
先ほどから何度も聞こえる言葉。だけど、すぐ見透かした嘘。
しかしそれをひっくるめても魅惑的且つ好意をもつ。
愛してよ、愛してよ、ヨコ。
俺を深く、壊して。
「誘ったのは、ヒナだからな…。」
ヨコはそう言って、ソファーにお互いの抜け殻を一枚ずつ乱暴に投げる。
お互いが全てを見せあった時、ヨコは聞いた。
「だけど…ヒナ、何で?」
「そんなんどうでもええ。」
俺はヨコの首に腕を回す。
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