僕は弱い

2/3

310人が本棚に入れています
本棚に追加
/126ページ
「さよなら。」 そう呟く君が僕の傘を残して駆けだしてゆく。 哀しみ降り出す街中が銀色に煙って、すばる君だけ、消せない。 僕は最後の雨に濡れないようにすばる君を追い掛けて 「待って!!」 後ろからただ抱き寄せ、瞳を閉じた。 「まる…やめーや…。」 「すばる君…ごめん。だけど、今日…だけは…。」 すばる君は僕から離れてこっちを向いた。そして優しく微笑んで抱きしめてくれた。 「今日…だけな。」 結局すばる君と僕の家に戻ってきてしまった。 ベッドの上には隣で眠るすばる君と弱い僕。 ほどいた髪を広げて、僕の夜、包んでくれた優しい人…。 不安な波にさらわれる君の心の砂の城。怖くて誰かを求めたんですか? すばる君には強がりだけを覚えさせましたね。 .
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

310人が本棚に入れています
本棚に追加