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「…ん、ふふっ。」
寝ながら微笑むすばる君。でも微笑みは二人の夢を見ない。
「すばるっ…君。愛…してる…。」
本気で忘れるくらいなら、泣けるほど愛したりしない。
さよならを言った唇も僕のものや。
すばる君を忘れない。
明日のすばる君を救える愛は僕じゃない。でもこのまま見つめている。
言葉に出来ないのが愛。だけど、言葉では君を繋げない。行き場のない愛がとまらない。
すばる君は僕の傘だったのかもしれない。いつも悲しみから僕を守ってくれた。
傘を捨てて雨を見上げていた。
「んっ…あっ、まる…。」
隣で寝ていたすばる君が目を覚ました。
「すばる君、おはよう。」
すばる君は少しこの状況に戸惑いながらも
「俺…帰るわ。」
と、ベッドから出ようとした。すばる君の腕をつかむ僕。
また涙がこぼれる。
本気で忘れるくらいなら、泣けるほど愛したりしない。
「誰かに盗られるくらいなら、強く抱いてすばる君を壊したい。」
そう言って細い身体をいつまでも抱きしめていた。
-END-
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