言ってあげる

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「もしもし?今なにしてんの?」 『今?家にいる。』 こうやって、暇があればヒロと電話。 いつもどこにいたって気にしてるのは一つだけ。 君は笑ってますか?それともちょっぴりブルー? きっとみんな抱いてるそれぞれの特別を、俺にとって紛れもなく、それはヒロやから。 『亮ちゃん、会いたい…。』 急に弱気発言の恋人。 「愛してる」の言葉じゃ足りないくらいに君が好き。 「分かった。」 だから、今すぐ君に会いに行こう。この青い空を飛び越えて。 「ヒロ!」 「ごめんな?会いたいなんて言ったから。」 急いでタクシーを捕まえて着いた見慣れたマンション、顔。 だけど弱々しく笑う顔は久しぶりで、ただ抱きしめるしかなかった。 「寂しくさせてごめん。」 「大丈夫……大丈夫やから。」 「ヒロは一人やないから。俺がいる、みんながいる。味方はたくさんいるから。」 「分かってる。分かってるけど、やっぱり亮ちゃんが……ええねん。」 「いつでも会いに来る。こうやって抱きしめるから。」 「おん…。」 顔は見えないけど、笑っている気がする。笑っていてほしい。 .
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