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「もう大丈夫。無理言ってごめんなぁ。」
「全然無理なんかやないから。」
「ありがとう。じゃあ甘えさせてもらって、駅まで一緒に行くわ。」
「おん。」
俺らは近い駅に向かった。ゆっくり歩いて、二人の空間を感じていた。
「じゃあ、帰る。また連絡する。」
「おん、待っとる。」
ヒロは微笑んで手を振る。俺は改札を抜けて、また振り返る。
改札の向こう側、人ごみ消えてゆく後ろ姿。
目で追った、ほんまは離れたくなくて。
俺もまた向き直し歩き出す。
他には何もいらない。本気でそう言えるほど、俺の中にはいつだって君がいるんだよ。
「I love you I love you I love you…La La La La La La…」
「愛してる」ってほんまは伝えたいけど、恥ずかしくて言えなくて、こうやって歌って君に伝えた気がしてる。
歌に乗せたら言えるのに、一人だと歌えるのに。
ヒロの前だと何故か言えなくて、それが不安にさせてる原因なんやな…って分かってる。
「歌っちゃって上機嫌やなぁ。」
突然後ろから抱きしめられて聞き慣れた声。
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