ヘタクソやから君にしか聞かせられない

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「ヨコの手……あったかい」 「ヒナ、寒いん?」 「ううん。だけど、なんやヨコの温もりが気持ちええ」 なんか手を握ってるのに、握られている感覚。 お前の手もあったかいで。 「さっきの続き歌って」 「続き?えっと……僕の声が続く限り…隣でずっと愛を唄うよ……」 「分かったー!愛唄や!」 嬉しそうにしてヒナがおもいっきり手を上げたから、同時に俺の手も空中を舞う。 「お前、危ないやんけ!」 「ごめん、ごめん!」 いつもの様に笑いながら謝るヒナ。全然反省してない証拠。 「歳をとって声が枯れてー、きたらずっと、手を握るよー」 ヒナは分かったのがとても嬉しいのか、続きを勝手に歌い始めた。 こんなにも楽しい毎日。それは15年間、ヒナが側に居たから。 ただアリガトウじゃ伝えきれない。 これから先も「泣き」「笑い」「喜び」「悲しみ」を、共に分かちあい生きて行こう! いくつもの夜を越えて、 「ヒナ、うた下手やな!」 「お互いさまや!」 俺は君と愛を唄おう。 -END-
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