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「もうちょっと歌詞覚えて」
「すいません…」
「あとダンスも」
「はい…」
「明日本番だから、今日はゆっくり休んで。おやすみ」
今日のリハーサルは最悪。全部俺が悪いんやけど、ここまで覚えてないとは思わなかった。
ホテルの部屋のドアを閉め、ため息をつき、その場にしゃがみ込む。
笑顔の裏に隠していた、何度も何度も閉じ込めていた。
「ヒナ、会いたい…」
力なく消えた言葉。
涙溢れ、見えない傷。
“頑張らんでええ、けど、負けんな”
“ヨコは天才やから!きっと大丈夫やで”
ただ傍で受け止めてくれた日々、忘れないように。
“今から帰る”
一言送ったメール。
ヒナと離れてから3日。ソロコンは無事に終わり、また帰ってきたこの街。
マネージャーに空港から家まで送ってもらう。
「ソロコン良かったです。リハーサルした時はどうしようかと思いました」
マネージャーは安心顔で言った。
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