会いたい、会えない、会わない

2/4
前へ
/126ページ
次へ
街中を歩く俺に、ピアノとベースのBGMが流れている。 優しくて、切なくて。 今にピッタリだ…。 いつもの道を飾る街のイルミネーション、空からは白雪。優しく俺を包み込む。 急ぎ足で流れる、めくりめくる季節に。 ちっぽけな抵抗を、と、ふと立ち止まってみるんだ。 あれからどれだけ過ぎた。あいも変わらず笑ってますか。 『いつか別れるときが来ても、俺はヒナを愛してる』 あの時交わした約束、永久の愛と誓って今も…君だけを愛してる。 「寒いね」 周りの声がする方を顔だけ向ける。 銀杏並木の側で寄り添う恋人達。かじかんだ手と手に、互いの熱を与えあい。 その二人から吐かれて白くなって消えたのは、アイシテルの言葉かな? 「俺は、ひとり…」 俺はそっとポケットに手を入れてまた歩き出す。 あれからどれだけ進んだ。限りなく側で寄り添った時間。 二人で過ごした時間を一人の時間が越えるのは、いつなんやろ? そんな事を思いながら、また明日へ歩いてく俺。 “それでも俺はヒナを愛してる” それが永久の愛と祈って今も…。 .
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

310人が本棚に入れています
本棚に追加