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街中を歩く俺に、ピアノとベースのBGMが流れている。
優しくて、切なくて。
今にピッタリだ…。
いつもの道を飾る街のイルミネーション、空からは白雪。優しく俺を包み込む。
急ぎ足で流れる、めくりめくる季節に。
ちっぽけな抵抗を、と、ふと立ち止まってみるんだ。
あれからどれだけ過ぎた。あいも変わらず笑ってますか。
『いつか別れるときが来ても、俺はヒナを愛してる』
あの時交わした約束、永久の愛と誓って今も…君だけを愛してる。
「寒いね」
周りの声がする方を顔だけ向ける。
銀杏並木の側で寄り添う恋人達。かじかんだ手と手に、互いの熱を与えあい。
その二人から吐かれて白くなって消えたのは、アイシテルの言葉かな?
「俺は、ひとり…」
俺はそっとポケットに手を入れてまた歩き出す。
あれからどれだけ進んだ。限りなく側で寄り添った時間。
二人で過ごした時間を一人の時間が越えるのは、いつなんやろ?
そんな事を思いながら、また明日へ歩いてく俺。
“それでも俺はヒナを愛してる”
それが永久の愛と祈って今も…。
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