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「いつかヨコがおじいちゃんになったら、上でもう一回会おうや。だから、行きたいとか言うな」
「ごめん。なぁ、ヒナ…」
手を伸ばしたら、ふわりとヒナは消えた。
期待した右手には雪が降りて積もらず、ただ溶けた。
夜空舞う君が俺の黒を白に染めて背中押してゆく。
君が舞う季節までまた一人で、二人の愛育むよ。
「寒いから、帰るわ。風邪引いたらお前が心配するから」
俺はまたポケットに手を入れて、マフラーに顔をうずめた。
ヒナが死んでからどれだけ過ぎた?どれだけ進んだ?
どれだけ一人の時間を過ごしたらええかな?
「何十年後…な?」
ただ君に会いたくて、空に向け願い、放つんだ。
-END-
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