会いたい、会えない、会わない

4/4
前へ
/126ページ
次へ
「いつかヨコがおじいちゃんになったら、上でもう一回会おうや。だから、行きたいとか言うな」 「ごめん。なぁ、ヒナ…」 手を伸ばしたら、ふわりとヒナは消えた。 期待した右手には雪が降りて積もらず、ただ溶けた。 夜空舞う君が俺の黒を白に染めて背中押してゆく。 君が舞う季節までまた一人で、二人の愛育むよ。 「寒いから、帰るわ。風邪引いたらお前が心配するから」 俺はまたポケットに手を入れて、マフラーに顔をうずめた。 ヒナが死んでからどれだけ過ぎた?どれだけ進んだ? どれだけ一人の時間を過ごしたらええかな? 「何十年後…な?」 ただ君に会いたくて、空に向け願い、放つんだ。 -END-
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

310人が本棚に入れています
本棚に追加