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俺こと金丸秀信は髪はボサボサ、服はだらしなく伸び、清潔感はまるでなし。周囲に近寄りがたいオーラを発し、オタク、根暗なんて呼ばれてるのがデフォルトのどこにでもいる中学生である。
別に自らのを卑下している訳ではない。ただ、事実を言っているだけだ。他人は所詮他人。何を言われても気にしない。相手にしない。それで十分。俺の人生にさしたる影響も無い。
「何度言えば相手にしてくれるのさ!?僕と世界を救ってと言ってるじゃないか!!」
そんな俺だから耳元で手の平サイズの羽の生えた人間にそんな事を言われても貸す耳は持たない。厄介事はごめんだ。
「秀信~!!起きないと遅刻するよ!!」
勢いよく部屋のドアが開かれる。そこから顔を出した母は、起きている俺を見るなり天然記念物を見るかの如くマジマジとこちらを見る。
「あんたがこの時間に起きてるなんて何かあったの?」
失礼な。
しかし、中学に入学して以来初めての事だけに弁解の余地はない。
「別に……」
「こりゃ今日は雨が降るね」
母は更に失礼な事を言うと部屋から出ていった。
「今のが母親か?あんなに美人なら自慢してもいいな」
朝早く起きてしまったのは耳元で騒いでいるこいつと昨日早く寝てしまったのが原因なのだが……
消えていない。幻覚では無かったと言うことだ。こんな事なら昨日寝ないでネトゲをやって置けば良かったと懲りもせず後悔する。
って言うかこいつに美人とかわかるのか?
そんな疑問など誰も答えてくれる筈はなく、心の内に秘めることにした。
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