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起きてしまったのだからと、仕方無く学校へ向かう準備をする。
制服に着替え鞄を持ってリビングに降りると父親が新聞を中途半端に拡げた所で固まった。
間違いなく俺に視線が向いている辺りがムカつく。
珍しい物を見てしまった時のような反応は止めて欲しい。
「ほう。これが父親か……げふっ」
後ろでぐちゃぐちゃ言い出しかけた妖精を壁を叩くように叩いてやった。
「な、な、な、何をする!!大体無視をし続けているのに何故僕を殴れる事を知っている!?」
言われてみればそうだ。
だが、そんなに気にする事はないハエを払う感じで手を出したら当たってしまっただけの事。
イスを引くと黙って朝食が置かれたテーブルの前に座る。
「ど、どうしたんだ。珍しいじゃないか」
父親がやっと再起動する。しかし、なんなのだろう。この他人行儀な態度は。
「別に……」
親子の会話なんて久し振りに交わした気がする。
「おい!?別にとはなんだ……ん?はっはっは遂に返事をしたな!!つまり僕を認めた訳だ。さぁ、世界を救おうじゃないか!!」
お前に返事をしたんじゃないくらい分かって欲しいもんだが。しかし、昨日とキャラが違くないかこの妖精。
余りにも無視しすぎて気でも狂ってしまったのか。
可哀想に……
「聞いているのかぁぁぁ!?」
久し振りに食べた朝食の味は落ち着かない周りのせいでよく分からなかった。
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