1.

16/18
前へ
/672ページ
次へ
「そうだったんですか」 俺は返事しながら、元来た道を歩き始める。 ゆうなさんも隣を歩いている。 「でも、なんで保育園まで私のことを探しに来ようとしてたの?」 ゆうなさんの当たり前の疑問に、俺は自分の気持ちを伝えなきゃならない。 でも、さっきまでの勢いはシュルシュルとすぼんでいってしまい…… こんなことを、初めて話すゆうなさんに言ってしまっていいのか? 心の中で自問自答…… 「どうしたの?」 ゆうなさんが立ち止まり、怪訝そうな顔で俺を見つめた。 「あの…… その……」 「何っ?」 ゆうなさんがハッキリしなさいよ! とばかりに、ピシッと言い放つ。 「わかりました。話します。 でも……」 「でも何?」 「ひかないで聞いてください」 「わかった! ひいたりしないから、話してみて」 ゆうなさんの眉が少し下がり、優しい表情に戻っていく。
/672ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4065人が本棚に入れています
本棚に追加