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学校に着き自分の席に座ると、駅で渡された手紙を読み始めた。 まただ……。 『毎朝、電車で見ているだけで、好きになりました』 俺の、どこを好きだって言ってるんだ? 不機嫌になり、手紙を鞄に戻す。 「朝から怖い顔してるなぁ。笑った伊藤君は素敵なのに……」 ふざけて話かけてきたのは同じクラスの中村。 中村とは高校に入学してからの三年間、同じクラスでなんでも話せる親友だ。 中学の時から吹奏楽部でドラムをしていて、今も熱心に部活に励んでいる。 俺とは違い、いつも周りに友達が集まってくるような磁石人間。 将来は弁護士になりたいらしいが、今はドラムに熱中していて塾にもあまり行けていないそうだ。
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