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「はぁ……はぁ……。」
なんか一人だけ大騒ぎして馬鹿みたいです。とりあえず落ち着くために深呼吸。落ち着いてから、幼い蘭ちゃんと向き直る。
「まず自己紹介しませんか?私は陸奥花 睦葉っていいます。」
「陸奥花。」
名字呼びされるのは慣れてなかったので驚きましたが、まぁ気にしないようにしました。
「俺はF45K77。」
少年が口にしたのは名前ではなく何かの記号でした。
「え、えーっと……?」
「俺に名前は無い。ただ呼ばれる時はそう呼ばれる。俺の入ってたカプセルの名前。」
少年はすぐ近くにあったカプセルを指差す。そこには確かにK77と刻まれていました。
「貴方は一体……?」
「俺は俺。別に変でもなんでもない。」
彼はそう切り捨てるように話を終わらせました。
「……そうですね、ごめんなさい、変なこと言って。」
「気にしてない。」
「じゃあ……ナナ。一緒にここを出ましょうか。」
「……ナナ……?」
「私はこれから貴方をナナって呼びます。あの記号はカプセルの名前であって貴方の名前じゃありませんから。」
「……分かった。」
本当に分かってるのかと言いたくなるくらいの無表情で彼は答えました。
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