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「ナナは今なにか持ってますか?」
「……いいや、少し寒かったから向こうに死んでた研究員の服を借りただけ。他は何も持ってない。」
どうやらここでも人は死んでるらしい。私はナナに案内してもらってそこまで行った。
「……なんですか、これ……。」
広いフロアのど真ん中に死体の山。研究員も何人かいる。しかしそれ以上に問題なのが。
ナナと同じ姿をした少年の死体がいくつも転がっていました。
そこで私は理解しました。ここは、クローンを造っていたフロアなのだと。そしてナナもそのクローンの一人……。
私がじっと彼の顔を見ていると、それに気づいた彼は軽く首を傾げた。
「どうした?」
「いえ……大丈夫ですか?」
「何が?」
……特に気にしてなさそうですけど。自分と同じ姿をした死体が転がっていたら気味悪くならないんですかね。
「……陸奥花、俺は何をすればいい。」
「えっと、研究員から携帯電話と名札を取ってきてもらいたいんですけど……。」
「携帯電話……?」
「やっぱり分からないですよね。私が行きますから、ナナはそこで待っててください。」
そう言い残して私は死体の山に足を踏み入れていった。
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