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ガラス張りのエレベーターに乗り込む。しかしナナは躊躇い、中に踏み込んで来ない。
「どうしたんですか?」
「……俺は、光に当たると死ぬんだ。」
青い冷光を避けるように彼は歩いている。
「……ああ、月光ですか。」
どうしましょうか……。冷たく射し込む光の中で考える。伸びる私の影を見て思いつく。
「私の影の中に入ってください。」
「え?」
「私が守りますから。一緒に行きましょう?」
そう言ってあげると彼は恐る恐る私の影の中に入ってきました。本人気づいてないですけどちょっとだけ光当たってるんですよね。月光なら大丈夫みたいですね。
しかしこの調子だと外を出歩けませんねぇ。ちょっとばかりリハビリしますか……。
私の影の中に入り込んで身を縮こまらせている少年について考える。どうすればいいでしょうか……。
「ナナ。」
「何だ?」
「ちょっと光当たってますよ。」
レッツ、荒療治。
「ひぃッ!?」
ナナは予想以上に驚いたみたいでびくりと身体を震わせて更に縮こまりました。やってしまいました。
「うーん……ナナはどうして光に当たると死んじゃうって思ってるんですか?」
私がそう聞くと、ナナは震えながら言いました。
「前に抜け出した仲間が光に当たった瞬間に粉になったから……。」
仲間……つまり自分と同じクローンが目の前で日光に焼かれて死んだんですね。それは……辛いですね。
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